2018年段階では「売上の75%が北陸」だった
今でこそ熱い視線を送られるアイラップだが、全国に注目を集めるようになったのはここ数年だ。2018年7月、アイラップ公式Xは「アイラップは全国区商品。一部地域限定の商品ではありません。売上の75%が新潟、山形、富山、石川、福井に集中している」と告白したことが大きな話題になった。あれから約5年どうなったのか。アイラップを製造・販売する岩谷マテリアルの開発担当者に話を聞いた。
──コロナ禍以降、ネットで売り切れ報告をよく見かけます。実際、売上に変化はありましたか?
「2018年にSNSアカウント開設後、これまでに売上は約2.5倍と好調に推移しております。コロナ禍では巣ごもり需要なども相まって、売上拡大に繋がったと推察しております」(担当者、以下同)
──「アイラップは北陸で売上の75%を占める」という投稿は驚きでした。東京の会社で商品も全国区なのに、なぜ北陸に売上が集中しているのですか?
「47年前に開発された当初は全国チェーン店にも導入され、テレビCMもやっていたのですが、特許が切れてからは類似品が乱立、価格合戦になり、徐々に売場が縮小化していきました。そんな中、山形の食品スーパーのオーナー様がアイラップを気に入り、地元の問屋さまと共に長く商品をお取り扱いいただいた事がきっかけで、日本海側で定着した経緯があります。ただし現在では比率は逆転し、関東地区が売上トップとなりました」
ロゴ入りTシャツも話題に
──アイラップ公式Xが話題になり、認知度も人気も全国区になりましたが、商品の人気を実感したことはありますか?
「SNSアカウント開設当初は年に数件程度だったユーザー様の声が、現在では多く見られるようになりました。また、私(東京出身)も身近では一切見かけることがなかったアイラップが、今では置いていないスーパーを探すほうが難しいほどの状況になったのには大変驚いています。店頭POPに『SNSで話題!』と書いてあるのを見つけると、嬉しくなりますね」
──最近では、アイラップのロゴ入りTシャツも話題です。どのような経緯からコラボが実現したのでしょうか?
「もともと企画自体はSNSアカウント開設以前からありましたが、宣伝・広告予算もゼロだったため実現は困難でした。ただアイラップ人気が再燃すると、いくつかのTシャツ化オファーが寄せられるようになり実現となりました。普及地で古くから浸透している商品なので、ネタとして購入される方が多いですね。オレンジ色で非常に目立つ色のため、イベントなどで着用されているようです。当社社員も展示会で着るようになったと聞いています」
実力は十分にあったものの、長きにわたり全国的なブレイクにまでは至らなかったアイラップ。SNSという強力なツールを駆使して令和の世でブレイクできたのも、元々の商品としての実力があってこそのことだろう。(了)