樹木葬への注目が年々、高まっている。お墓の情報サイト「いいお墓」が行なった「お墓の消費者全国実態調査」によると、昨年同サイトを通して新しく墓を購入した人のうち、樹木葬を選んだ人が調査開始以来はじめて半数を超えたという。
ただし、イメージ先行で選ぶと後悔することもある。想定していたより高い金額を提示されたり、宗教宗派が不問なのに寺院の檀家からクレームが入ったり、はたまた山が荒れ果てて埋葬場所が分からなくなったり……トラブルの種は尽きない。
ひとくちに樹木葬と言っても、大きく2種類に分けられる。人里離れた山林で寺院などが所有する敷地に墓所を設ける「里山型」と、街中の寺院や霊園の一角を樹木で飾る「都市型」だ。
それぞれ後悔しない選択をするためにはどう備えたらいいのか。大橋石材店代表でお墓コンサルタントの大橋理宏氏はこう指摘する。
「樹木葬は1999年に岩手県の寺院、長倉山知勝院が里山でスタートさせたのが最初で、まだ25年弱の歴史しかありません。今後どういったトラブルが起こるかわからない状態です。管理する寺院や宗教法人が破綻する可能性など、将来のリスクまで踏まえた選択や判断が必要でしょう」
契約書の条項を確認し、きちんと保管を
終活に詳しいファイナンシャルプランナーの宮崎真紀子氏は、亡くなった両親を都市型の樹木葬で埋葬している。その経験を踏まえて対処法を語る。
「まず寺院や宗教法人を訪れて、行なわれている樹木葬の種類や特徴を見学し、運営側と面談することです。その際、樹木葬についてだけでなく、お寺の後継者や経営状況についても質問するのが望ましい。将来的な経営危機への備えも必要で、万が一の場合に遺骨の扱いがどうなるかといった契約書の条項を確認し、きちんと保管することです。
また、契約は自分だけで決めるのではなく、他の家族や親族に最低限の合意を得ておきましょう。契約後もたまに現地を訪問して、寺院側と良好な関係を築ければなおいいでしょう」
ブームの今だからこそ、イメージだけで決めるリスクを知っておく必要がある。「家族や親族と合意を取れているか」「「山奥でアクセスが不便ではないか」「契約期限はいつまでか」…など、後悔しないためのチェックポイントは少なくない。それらのチェックポイントは別表にもまとめているので、まずはこちらを確認して欲したうえで、しっかり検討してほしい。
※週刊ポスト2023年11月10日号