年収の壁撤廃で第3号とその家族がこうむる“損害”
政府はすでに昨年、「年収の壁」の適用対象を従業員501人以上の企業から、101人以上の企業へと広げたばかり。その時点で新規加入対象者は約45万人も増えたが、岸田内閣はさらなる改正を進め、その「Xデー」はすでに決まっている。
「来年、5年に1度の年金制度改正が行われます。それに伴い、106万円の壁が“従業員数101人以上の企業”から“51人以上の企業”に変わるとみられている。将来的には企業規模の人数による設定を撤廃し、パート主婦も含めて働き手全員を第3号から外すつもりでしょう。
年金財政に苦しむ政府としては、ひとりでも厚生年金の加入者を増やしたいと必死なのです」
年収の壁撤廃によって第3号と、その家庭がこうむる損害はそれだけではない。
「現在は壁を超えなければ夫の扶養に入るため、会社から家族手当や扶養手当などが支給されますが、それがもらえなくなってしまう。月に1万円ほどの扶養手当を受けていた家庭の場合、妻の給料が月額10万円(年間120万円)になると、月1万5000円ほど社会保険料が天引きされ、扶養手当と合わせて月額2万5000円ほどの収入減、年間にすると30万円くらい手取りが減ります」
政府は手取りが減っても、厚生年金に加入した分だけ受給が増えると説明するが、詭弁にもほどがある。
「単純試算でも、65才から年金受給を始めたとして、元が取れるようになるのはなんと37年後の102才のとき。
しかも厚生年金も国民年金もマクロ経済スライドで毎年約1%ずつ価値が落ちていくので、実際に元を取れるのは受給開始から40年以上後になる可能性も高い。給付増の見返りなど現実にはありえません」
※女性セブン2023年11月16日号