国民年金保険料の納付率は、65.0%(2016年)。この数字は保険料を免除・猶予されている人を除いて算出されたもので、それらを含む実質的な納付率は約40%となっている。およそ半数が年金保険料を払っていないのだ。「将来、確実にもらえるかわからないから」という理由で保険料を納めていない人は多い。それは本当に賢い選択なのか。ファイナンシャル・プランナーの清水斐氏が解説する。
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年金の「支給漏れ」や「情報漏洩」といった、年金不信を招くニュースが後を絶ちません。さらに、少子高齢化に伴って「現役世代=保険料を支払う世代」が減り、「高齢世代=年金を受け取る世代」が増えていくため、世代間扶養をベースとした現在の年金制度は「破綻する」という主張もあります。
そういうわけで、「どうせ将来はもらえないから」「払い損になるくらいなら」と考えて、国民年金の加入者の中には保険料を支払わずに「自分で貯金する方がまし」と考える人もいます。その考え方は賢い選択なのでしょうか。
年金制度はかなりコスパの良い「保険」
そもそも、年金は法律で加入が義務づけられています。建て前から言えば、保険料を支払わないという選択肢はありません。
ですが、仮に「保険料を払う/払わない」を選択できる仕組みだとしても、“払ったほうがお得”だと言えます。
年金は「老齢年金をもらえるもの」という制度だと思われています。それも間違いではないのですが、年金には“保険機能”もあるのです。それが、一定の障害状態になった場合にもらえる「障害年金」、亡くなった際に遺族が受け取れる「遺族年金」です。
障害年金や遺族年金は全員が受給するわけではないので、イメージしにくいことは確かでしょう。しかし、実はもしもの時には民間の生命保険より大きな助けになるものなのです。