自分にある程度金銭的な余裕があるかどうかも重要な要素
令和3年の最高裁判所の司法統計年報によれば、調停や審判など裁判所で争いになった相続案件は遺産額5000万円以下が約76%を占める。特筆すべきは、遺産額1000万円以下が約33%に達することだ。
経済アナリストの森永卓郎さんは「遺産が少ないほど揉めやすい」と語る。
「100万円、200万円の相続で揉めるのが現実です。亡くなった父が遺言を残していなかった私の場合、父の介護費用を数千万円立て替えた上、妻が父の介護を11年も行ったため本来は遺産を多くもらうべきだという主張をしてもよかったのですが、無用なトラブルを避けるため弟と折半しました。ラッキーだったのは当時10年間一日も休みがないほど忙しく働いていたゆえに普通預金のキャッシュが潤沢だったこと。
特に、故人が財産をどう分割してほしいか遺志を残していなかった場合はとりわけ、相続時に、自分にある程度金銭的な余裕があるかどうかは、きょうだい間での争いを避けられるかどうかのひとつの分かれ目だと実感しました」
大切な人をしのんで、満ち足りた涙を流すために、準備しておけることは少なくない。
※女性セブン2023年11月16日号