「国が認めた」という主張
次第に大胆に流用するようになっていったのが福岡県みやま市のケースだ。
同市は2020年度に〈雨漏りのため、使用出来る範囲が狭くなり、避難所開設時に密な状況が生じている〉という理由で市内の小学校の体育館の雨漏り改修工事にコロナ交付金を申請した。これが認められると味をしめたのか、本誌が確認できただけでも翌2021年度は中学校の図書室や教室、さらに2022年度は市民センターや小中学校と、総額約3100万円の「雨漏り工事」をコロナ交付金で賄った。
小中学校や公共施設の雨漏り工事は本来、市の予算でやるものだ。
「うちとしては国が示すコロナ対策の基準に則って、事業を申請しているということです」
同市の企画振興課長は「国が認めた」と言い張った。
自治体がコロナ交付金を受けたい時は、事前に実施計画を総理大臣に提出して承認を受けることになっている。
やりたい放題の税金流用を、岸田首相は黙認したのではないのか。財務省とともに国民に増税を強いる一方で、好き放題に使っているなら“奪税集団”の誹りを免れない。実施計画を精査する内閣府地方創生推進室に質した。
「感染対策をしつつも経済を回していくという相反する事情があるなかで、各自治体が事業の必要性を検討して申請をしてきていると考えております。自由度が高い分、あとから見て検証が必要だという部分は当然にあって、『各地方公共団体において説明責任を果たしていただくよう、お願いします』と言ってきた」
自治体が「国が認めているから問題ない」と開き直れば、国は「説明責任は自治体にある」と責任を押し付ける。
こうして18兆円もの税金が無駄遣いされている。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2023年11月17・24日号