1989年、3%の消費税を導入した竹下登首相は、「高齢化への対応」と「財政再建」を掲げた。しかし、国民から徴収された税金の本当の使い途は藪の中でわかりにくくされている。国民が支払ったあの増税のカネは何に使われ、どこに消えたのか。『週刊ポスト』取材班は増税の“遺跡”を探して全国に飛んだ──。
岡山県笠岡市に、広い畑を貫く農道を走ると見落としそうな「笠岡ふれあい空港」がある。農水省が地元の農産物を空輸するという触れ込みで農道を拡張して1991年に建設された「農道空港」だが、今ではたまにラジコン飛行機の大会や大学の鳥人間コンテストのサークルなどが利用するくらいだ。
「農道空港としては動いてない。できたときは農産物を大阪の八尾空港まで試験輸送したんだよ。しかし、その先の流通の仕組みがないからダメだった。カボチャやキャベツを空輸しても割高で採算が合わない。トラックで運んだほうが安い。
だからといって今さら農地にも戻せないでしょう。税金使ってラジコンの空港かと言われたらつらいけど、放置して廃墟になっても困る」(非常勤の管理者)
農水省は113億円を投じて北海道(4か所)、福島、岐阜、岡山、大分の8か所に農道空港を建設したが、そのほとんどがラジコン大会や紙飛行機教室、地元の盆踊り会場などとして使われている。
続いて取材班は能登に飛んだ。
約240億円をかけて2003年に開港した能登空港の定期便は羽田から1日2往復のみ。この定期便を維持するために石川県など地元自治体は航空会社に赤字を補填する契約を結び、利用客に助成金まで出している。それでも空港は年3億円の赤字だ。