キャリア

AI時代に求められる“右脳”構想力を身につける教育 大切なのは子供の「質問する力」を伸ばすこと

 逆にAIは、構想力を教えるような教育は苦手である。データのインプット(入力)がなければアウトプット(出力)することができないから、データが少ない問題や「それはつまり全体としてどういうことなのか」といった質問には弱いのだ。

 また、AIはIQ(知能指数)の領域は強いが、人の心理などを踏まえながら判断するEQ(心の知能指数)の領域には対応できていない。これもAI化する左脳部分の教育とは別途、勉強していくべきである。

 そういう世界の中で、親ができることは何か? いちばん大事なのは、子供の「inquisitive mind」(探究心、知的好奇心)」、言い換えれば「質問する力」を養い育てることだと思う。

 つまり、親は子供に答えを教えるのではなく、たとえば「空はどうして青いのか」といったことを一緒に考えるのだ。そのように何事についても常に疑問を持って質問し、データや情報を調べながら深く考え、それに基づいて自分なりの答えを導き出す癖をつけることが極めて重要なのである。

 これは文科省の学習指導要領に従って教えている学校や学習塾には期待できない教育だ。ゆえに親が担うしかない役割であり、この「質問する力」こそが今後もAIに置き換えられない「稼ぐ力」につながるのだ。

【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『「老後不安」を乗り越える シニアエコノミー』など著書多数。

※週刊ポスト2023年11月17・24日号

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