今夏、話題になったドラマ『VIVANT』では主人公が送金額を1ケタ間違える場面が物語全体のカギになっていたが、その社員は「発注量のみならず内容も違っていた」(Yさん)とか。だが、Yさんの叱責はその社員には響かなかった。
「自分としては冷静にミスを指摘しつつ、『しっかりしてくれよ』『○○君ならできるだろ』といったセリフで奮起を促したつもりだったんですが、完全に“つもり”だけでしたね。その社員は会社に来なくなった挙げ句、私の叱責をパワハラだと訴え、私は査問を受けることになってしまいました。
結果的に私に対するお咎めはなく、賞与も減っていなかったので、私の経歴に傷は付きませんでしたが、話を聞く限りは似たような思いをした経験がある同世代のサラリーマンは多いようです。今や管理職になった同年代の友人は、『(パワハラだと)訴えた者勝ちだよな』と言い合っており、ある友人は『パワハラだって言われるのが怖いから、面倒が起きそうな仕事は全部自分でやってる』と言っていました」(Yさん)
近年の調査では「出世したくない」という新入社員が増えているそうだが、こういった状況も拍車をかけているのかもしれない。
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