千葉県松戸市にある「中華東東(とんとん)」は、創業43年の町中華だ。地域に愛される老舗だが、ここ数年は不運が続いた。コロナウイルスの猛威、初代店主の死と、数々の試練が降りかかるのである。危機を救うべく立ち上がったのは、初代店主の孫娘・池田穂乃花さん(21)と、幼馴染の許維娟さん(以下ジェンジェンさん)(21)だった。
秋晴れに恵まれた11月の休日。午前10時の開店前、店の前にはすでに数人の列ができていた。20台ほどが停められる駐車スペースには他県ナンバーの車も多い。開店と同時に30席ほどの店内はすぐに満席となった。
開店前から並んでいた30代の男性は次のように語る。
「今日で2回目です。初めて来たのは1か月ほど前。若い女性店長が頑張ってるのをTikTokの動画で見たのがきっかけでした。最初は正直、興味本位だったんですけど、チャーハンが激ウマで、今回は味本位で来ています(笑)」
10月からの新メニュー「エビフライチャーハン(1870円)」を目当てにやってきたという男性はこう話す。
「SNSとかで話題になっているのは知っているけど、それだけじゃないんですよ。とにかく普通に美味い。店長が定期的に考案する新メニューも毎回楽しみにしてます」
今や行列のできる人気店として忙しい毎日だが、そこに至るまでは平坦ではない歩みがあった。