今日は何を食べようかと迷った時、ついつい入りたくなるのが、街なかのそば店。そばやうどんメニューだけでなく、丼ものも充実しているケースが多く、昼食でも夕食でも重宝する。時代とともに食文化は変わってくるものだが、昔ながらの個人経営のそば店が繁盛していることも多い。外食産業に詳しいライターの小浦大生氏はこう話す。
「特にそば文化が根づいている東京都内であれば、住宅街にもオフィス街にも昔ながらのそば店があり、ランチタイムなどは行列ができるお店も珍しくありません。お酒などを充実させて、高級路線にシフトするそば店も多いですが、リーズナブルな価格帯の庶民的なそば店も根強い人気があります。客層としては、中高年以上の常連客が多いです」
では、昔ながらの個人経営のそば店にはどんな魅力があるのだろうか。愛好家の言葉に耳を傾けてみよう。
都内に勤務する40代の男性会社員・中山さん(仮名)は、会社の近くにあるそば店でお昼ごはんを食べることが多いという。
「私が通っているそば店は、40年くらい営業しているお店。たたずまいはかなりレトロな雰囲気ですが、味は間違いない。シンプルなおそばが本当においしいんです。価格はもりそば、かけそばが600円で、カツ丼は900円。1000円以内で満足できます。自分の舌がこのお店の味に慣れきっていて、実家のご飯を食べているような感覚です。このお店がある限り通い続けると思います」(中山さん)
同じそば店に通うことは、“時間”の面でもメリットがあるようだ。
「常連客ばかりで、毎日同じようなメンツがこのそば店で昼ご飯を食べているんです。だから、混み具合なんかもほとんど毎日変わりがなく、多少待つことがあっても、どれくらいで自分の番がくるかおおよその時間の計算ができる。注文するメニューもほとんど決まっているので、選ぶのに悩むこともない。個人的には“時短”の感覚もありますね」(中山さん)