お祭りの屋台といえば、かつては手軽にB級グルメを楽しめるもの、というイメージもあったが、最近は物価高も続き、屋台メシですら値上げの波からは逃れられないようだ。佐賀県唐津市に在住するネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、地元のお祭りに参加したうえで、3人の育ち盛りの息子を持つ母親から本音を聞いた。
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先日ユネスコ無形文化遺産である「唐津くんち」と、地元の音楽フェス「やまおとフェス」に参加してきました。両方とも素晴らしいイベントでした。
唐津くんちは飲み屋の2階を約30人で貸し切って、曳山が通っていくのを見て、11月5日に行われたフェスでは、音楽や沖縄の伝統舞踊・エイサーを堪能しました。両方とも3人の男の子(小学生1人・保育園児2人)を持つ一家と一緒だったのですが、「やまおとフェス」に行くため車を運転してくれたお母さん・Sさんが運転中、こう言いました。
「今日は子供達に『何を屋台で頼んでもいいからね』と伝えています。唐津くんちの時は、とにかく屋台で売っているものが高かったんです。タコ焼きが600円、牛の串が800円とかでチョコバナナも500円していました。となると、3人に3種類ずつ買ったら6000円近くになってしまいます。
やっぱりお祭りでは子供は屋台のご飯を食べたがるのですが、くんちの時はなんだかんだ理由をつけて買わないことにしました。ただ、『やまおとフェス』はなんでも安いのを知っているので今日はいくらでもOKとしています」
これは私も納得しました。子供が3人もいる家庭からすれば、牛丼よりも高い屋台メシをバンバン買ってあげることには抵抗があるでしょう。私は今回、屋台でケバブサンドを買いましたが、800円でした。東京・六本木で買ったケバブサンドは650円だったので、若干割高感を覚えたものの、「せっかくの祭りだ」と躊躇なく買いました。しかし、親子5人でコレを買ったら4000円になってしまう。
さらに、「◯◯和牛」を謳う屋台があったのですが、霜降り肉が刺さっていて1000円。ただ、さすがにこのご時世、ブランド牛の串が1本1000円は安過ぎる。これって整形肉で脂分をインジェクションしたものでは……と訝るほどでした。