「また自慢か~」と言われることが増えた
一方、生活が充実している人でも忘年会に対して抵抗感を持つこともあるようだ。都内在住の会社員・イイダさん(仮名、35歳)は、最近は友人同士の飲み会に参加するたびに窮屈さを感じることが増えたという。
「近況を話しているだけなのに、『また自慢か〜』『独身は羨ましいよ』などと言われることが増えました。遅い時間まで仕事は頑張っていますので収入もそれなりにあり、ボーナス時には高級時計を購入したのですが、着けているだけでジロジロ見られて『結婚したら時計なんて買えないぞ〜』って言われたり……。
お酒が入っている分、普段よりもカッとなりやすいので注意はしていますが、そんなことを気にしながら参加する飲み会はつまらないと思っています」(イイダさん、以下同)
自慢しているつもりは一切ないものの、友人からは自慢と捉えられてしまうことに悩んだイイダさんは、ある日の飲み会で自分のことを話さずに聞き役に徹してみたこともあったそうだ。しかし「今日は静かだな」「怒ってるの?」と逆に気にされてしまう結果となったという。
「若い頃は楽しく参加できていたはずなのに、大人になってからの飲み会は気を遣うことが増えたと感じています。普段の飲み会でこんな感じなので、忘年会に参加しても楽しめないかもしれません」
今年の忘年会の予定はまだ立っていないが、仕事関係の忘年会にのみ参加し、友人関係の忘年会は見送ることを予定しているという。
誰もが年齢を重ねるほど様々な人生経験を積んでいく。若い頃は楽しいばかりの集まりでも、一定の年齢に達した後は人によって「格差」のようなものを感じるシーンは増えるかもしれない。
その人にとっては“普通”でも、周りの妬みや嫉妬の対象になることがあるのだろう。他人からの評価を気にしすぎると、飲み会の席に限らず、楽しめないのは当然だ。逆に他の参加者たちの近況に自分から興味を持って話を聞いてみるなど、心地よく参加できる方法を自分なりに探してみるのはどうだろうか。
【プロフィール】
吉田みく(よしだ・みく)/埼玉県生まれ。大学では貧困や福祉などの社会問題を学び、現在はフリーライターとして人間関係に独自の視点で切り込んでいる。マネーポストWEBにてコラム「誰にだって言い分があります」を連載中。同連載をまとめた著書『誰にだって言い分があります』(小学館新書)が発売中。