2年ぶり2度めとなるア・リーグMVPを受賞した大谷翔平(29)。史上初となる2度目の満票MVPで名実ともにメジャーリーグを代表する選手となっているが、注目を集めているのはプレーだけではない。日本全国2万校の小学校に低学年用グラブを3個(右利き用2個、左利き用1個)ずつ、計6万個を寄贈することを自身のインスタグラムで発表し、こちらも大きな話題となっている。スポーツ各紙で「総額6億円のプレゼント」と大きく報じられた。日本では前例のない試みで、その余波は大きそうだ。
大谷はインスタグラムで「野球を通じて元気に楽しく日々を過ごしてもらえたら嬉しいです」「このグラブを使っていた子供たちと将来一緒に野球ができることを楽しみにしています」と綴り、グラブの寄贈が子供たちにとって野球に興味をもつきっかけになることを願ってのものだという。
今年12月から来年3月までに順次配送されることになるが、到着を楽しみにする子供たちがいる一方、前例のない試みの受け入れ態勢を整備する教育者の側も大変だ。
学校によって対応が変わり「各校が知恵を絞ることに」
関西のある小学校の管理職は「大谷選手には感謝します。子供たちも憧れの大谷選手からのプレゼントに大喜びするでしょう」としたうえでこう話した。
「どう扱うかは難しい問題です。当然、使わないと意味がないが、かといって使えばすぐにボロボロになる。平等の精神からいえば、低学年だけというわけにもいかず、悩ましい話です。盗難に遭うのも怖いし、職員室に飾って父兄も含めて見て触ってもらうぐらいしか今のところ思いつかない」
九州の教育委員会関係者は「全国2万校の小学校とした大谷選手の考え方は素晴らしい。ただ、小学校は規模がまちまち。離島のように全校で20人未満という小学校もあれば、全校で600人の小学校もある。奪い合いにならないだろうか。野球クラブ、少年野球チームのない地域もある。学校によって対応が変わるので、各校が知恵を絞ることになるでしょう」と話した。そして、こうも続けるのだった。
「グラブが1個1万円相当で、6万個なら6億円という金額が独り歩きするなど、マスコミは大谷選手の動向ばかりに注目している印象です。一方で地道な活動をしている地元出身のプロ野球選手もいる。そういった選手にはスポットが当たらないことについては複雑な気持ちです」(同前)