就職や転職市場を調査・研究する「Job総研」が20〜50代の男女1037人を対象に行った「2023年 忘年会意識調査」(2023年11月実施)によると、今年は職場で忘年会が「開催される」と答えた人は52.3%に上った。そのうち「参加したい」と答えた人が55.8%で過半数を超えた一方、「参加したくない」との回答も44.2%に達し、特に40代では両者が拮抗する結果となった。「参加したくない」理由としては「プライベートを優先したい」「経済的な負担が気になる」などの答えが多かった。
職場の忘年会に対する考えがそれぞれ異なるなか、最も頭を悩ませるのは主催する幹事ではないか。店選びから会費、料理の内容など、幹事が決断しなければならないことは数多い。なかには、参加者の意向や要望を聞き過ぎたことで、袋小路にはまってしまう人もいるようだ。そんな30代男性会社員の苦労を、新刊『誰にだって言い分があります』が話題の、フリーライター・吉田みく氏がリポートする。
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都内在住の会社員・ケンイチさん(仮名、37歳)は、同じ部署で働くメンバーの忘年会の幹事を任されている。人数は10名と決して多くはないが、人間関係が比較的フラットな職場であることから、普段から個々の意見が強く、まとめるのが大変だそうだ。
「コロナが落ち着いてからの久しぶりの忘年会ということもあり、みんな楽しみにしているようなんですが、要望が多くて困っています。『久しぶりの飲み会だからコース料理じゃなくて単品で頼んで食事を楽しみたい』『飲み放題は飲まない人もいるからもったいないと思う』『飲みたいお酒が飲み放題でない時も多い』など意見は様々。
幹事としては会費が集めやすいコース料理と飲み放題の組み合わせが楽なのですが、せっかくの忘年会なので『みんなが満足できる忘年会にしたい』と思ってしまいます」(ケンイチさん、以下同)
ケンイチさんのメンバーに対する“優しさ”はわかるが、最終的には幹事が仕切らなくては話がまとまらない。悩んだ結果、好きなものを自由に注文し、参加者で割り勘することを提案した。
「幹事の私は大変ですが、それぞれが食べたいものや飲みたいものを注文できたほうが楽しいですよね。人数も10人と決して多いわけではないので、何とかなると思ったんですが、一部の参加者から別の意見が出ちゃって……」