では、どのくらいの税金が取り戻せるのか。夫婦2人暮らしで年金収入240万円(妻は国民年金)のAさんのケースで犬山氏に税額を試算してもらった(図参照)。
Aさん夫婦は自宅の地震保険料5万円、生命保険料を2人で8万円、ふるさと納税1万円、持病の治療のための医療費(薬代など)と通院の交通費(電車代など)を年間19万円支払っていた。
確定申告しない場合は、そうした控除は適用されずに所得税7000円、住民税3万円が課税(翌年に徴収)される。一方、確定申告して保険料や医療費などとして支払った額を申告すれば、所得税はゼロになって天引きされた7000円が全額還付され、翌年の住民税額も1万円に下がる。所得税・住民税合わせて2万7000円も安くすることができる。
こちらは毎年の話となる。前述のケースを5年続ければ13万5000円、10年続ければ27万円も還ってくるのだ。犬山氏が語る。
「税金を安くできる控除はほかにもあります。たとえば、住宅ローン減税。ローンを組んで自宅をバリアフリーにしたり、耐震補強工事をした際には、所得税の住宅ローン控除や固定資産税の減税を受けることができます。あるいは豪雨で浸水した、台風で屋根瓦が飛んだなどの損害を受けた場合はその損害金額が雑損控除の対象となる。自宅のシロアリ駆除など害虫駆除の費用なども雑損控除が利用できます」