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中国・習近平政権が抱える「不動産危機」「若者の高失業率」「外資撤退」の難題 解決策自体が「ダモクレスの剣」になりかねない

 いずれも解決策は明快だが、問題は、それらがことごとく習近平と中国共産党の否定につながることだ。つまり、解決策自体が「ダモクレスの剣」(一触即発の危険な状態)になりかねないから、実現の可能性は極めて低い。だが、それしか解決策はないのである。

 現在の習近平中国は「終わりの始まり」ではなく、じわじわと、しかし確実に終焉を迎えようとしている。

 残された道は、指導部の人事刷新だ。本来、組織の基本は人事である。企業で言えば、経営が傾いた時こそ人事を刷新し、能力のある人間を適材適所に抜擢・配置することによって組織は再び強くなる。だが、習近平指導部のようにイエスマンばかりでは組織を立て直すことはできない。その意味でも解決策は明快だ。

 李克強氏は3月、国務院での退任挨拶で800人余の職員を前に「人が何をしているのか、天は(きちんと)見ている。蒼天には眼があるのだ」と語ったという(日本経済新聞電子版3月8日付)。その言葉の真意を知ることはもはやできないが、今まさに起きている習近平の失政も、すべて天は見ているはずである。

【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。ビジネス・ブレークスルー(BBT)を創業し、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『「老後不安」を乗り越える シニアエコノミー』など著書多数。

※週刊ポスト2023年12月8日号

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