北半球では気温が下がり、空気が乾燥するとともに“感染性呼吸器疾患”の季節がやってくるが、中国では例年より早く10月中旬あたりから、患者数が急増している。冬場の流行自体は珍しいことではないが、今回は子供への感染拡大が目立つ点、多種類の感染症が同時に流行しているという点で珍しい。
例えば天津市児童医院の劉薇院長が11月18日に患者の家族に向けて送信したメールがネット上で公開されているが、それをみると、天津市児童医院、天津大学児童医院において24時間の間に受け入れた救急患者数は合計で1万3171人に達しており、過去最高となったそうだ。ちなみに、内科の医師は447人に過ぎず、十分な対応ができないことを謝罪するといった趣旨のメールである。
各地方政府の公開情報によれば、天津以外にも、北京、上海などの小児科病院では大量の患者で院内は過密状態だといった報道が多数みられる。
気になる疾患の種類であるが、国家衛生健康委員会が24日に記者会見いており、またその内容をホームページ上で公開している。10月以降、インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎の感染が拡大している。インフルエンザの流行のピークは冬から春にかけてであり、マイコプラズマ肺炎の流行はしばらく続くと当局は予想している。また、ある一種類の感染症が大流行しているのではなく、インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎に加え、ノロウイルスやアデノウイルスによる胃腸炎、はしかなど、多種類が同時に流行しているような状態であり、今後、多重感染に注意が必要だと説明している。ただ、幸いなことに、現段階ではすべて既知の感染症であり、また、新型コロナウイルスについても感染状況は比較的落ち着いているという。
26日には、中国疾病管理予防センターから年齢別の感染状況が発表されており、その主な病原体は以下の通りである。
0~4歳:インフルエンザウイルス、ライノウイルス
5~14歳:インフルエンザウイルス、肺炎マイコプラズマ、アデノウイルス
15~59歳:インフルエンザウイルス、ライノウイルス、新型コロナウイルス
60歳以上:インフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルス、一般的なコロナウイルス