株主優待は個人投資家に人気が高い制度だが、昨今、株主優待を廃止する企業が増えてきている。その背景に何があるのか。また、優待廃止を発表した際の市場の反応はどのようなものか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第70回は、「優待廃止」について。
* * *
個人投資家に人気の株主優待。株式投資を始めるきっかけが、優待目的だった投資家さんも多いのではないでしょうか? ところが、最近、株主優待を廃止する企業が増えています。その背景や、株主優待のメリット、デメリットについてお話しします。
企業が株主優待を行う理由
株主優待は、企業が株主に保有株に応じて自社商品や特典をサービスするしくみです。たとえばANAホールディングスでは、保有数に応じて、株主優待割引運賃で国内便に搭乗できる優待があるため旅行好きに人気ですし、オリエンタルランドでは、フリーパスチケットがもらえるためディズニーファンにとってはたまらない魅力です。わたしのママ友は、日本マクドナルドホールディングスの株を長期保有し、「優待でもらえる食事券で子供達を育てた」と豪語しています。
優待が魅力的であれば、長く株を保有してもらえるので、企業側にとってもありがたいですし、またあらたな株主を引き寄せる手段にもなりえます。そのため株主数を増やしたい企業は、優待を厚くする傾向があります。