11月25日、三井住友フィナンシャルグループ(FG)社長・太田純氏がすい臓がんで急逝した。65歳だった。突然の訃報は、経済界に大きな衝撃を与えている。発症後の自覚症状が少ないことから肝臓が「沈黙の臓器」とされるのに対し、さらに病気が見つかりにくいすい臓は「暗黒の臓器」と呼ばれる。我々はどう向き合うべきか。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が言う。
「すい臓は柔らかい組織の特性から腫瘍が見つかりにくく、CTなどの画像診断でもはっきり見えません。食道や胃、大腸とは異なり、内視鏡で直接観察することもできない。自覚症状はほとんどなく転移のスピードも速いため、がんが見つかった時には手の施しようのないケースが大半です」
太い血管が周囲を取り囲むことなどから手術が難しく、術中死亡や合併症も多い。腫瘍マーカーによる早期発見率も高いとは言えず、検査では発見しにくい。この難病に対策はないのか。
「すい臓がんの代表的な症状に、黄疸や背部痛があります。すい頭部がんの場合、胆管が詰まることで胆汁が肝臓に溜まり、顔や身体が黄色くなるのです。しかし、それらの症状が出た時点で、ほとんどのケースでがんは進行しています」(同前)
すい臓がんのリスクが高い人の特徴
現在、すい臓がんで闘病中の映画プロデューサー・叶井俊太郎氏(56)の妻で漫画家の倉田真由美氏は、夫の病が発覚した時の経緯をこう明かす。
「会社員である夫は、毎年健康診断を受けていたはずです。それまで何も指摘されたことはなかったのに、2022年5月頃から顔色が悪く、かなり黄色くなった。私が言っても聞きませんでしたが、会社の同僚から言われて初めて職場近くの病院に行ったんです」