配り切れず、在庫を廃棄していた時代も
当然、「配る側」にも事情がある。メーカーで営業を担当してきた40代男性・Cさんが、「年末に配るもの」の減少を振り返る。
「自分が入社した2000年頃は、壁掛けとして玉カレンダー(月や日付の数字だけをデザインしたカレンダー)と1か月ごとに四季折々の写真を掲載したカレンダーの2種類、卓上カレンダー、そして手帳を作っていました。年末になると、部署のメンバー総出でカレンダーを丸めて専用の袋に詰めたものです。巻いている時に手を切ったりしたのも懐かしい思い出ですね。
玉カレンダーは予定を書き込めるし、写真のカレンダーは風景を楽しんでもらえることもあって、結構ファンも多かったのですが、まず無くなったのは玉カレンダー。スマホが登場する前の話なので、その頃から経費削減の流れがあったのでしょう。その次に手帳、写真カレンダーという順で制作が中止になりましたが、完全に無くすまでには、まず配る先を厳選するというステップがありました。
例えば写真カレンダーなら、株主や得意先一社につき一つ、といった感じです。今は卓上だけです。以前は配り切れなくて、在庫を社員が家に持って帰ってよかったし、それでも余って廃棄していたぐらいだったので、時代は変わったなと思います」(Cさん)
円安に物価高、上がらない給料に苦しむ今、カレンダーがタダでもらえた時代のありがたみを感じる人も少なくないようだ。(了)