人口減少の厳しい現実を突きつけられている令和ニッポン。とりわけ少子化の影響が如実にあらわれているのが「学校」だろう。たとえば「公立高校」に着目すると、統廃合が進んでいるために「ゼロもしくは1校しかない」という自治体がますます増えている。近未来の教育現場はどうなるのか? 人口減少時代の社会経済問題に詳しい作家・ジャーナリストの河合雅司氏が解説する。【前後編の前編。後編を読む】
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公立高校の統廃合が進んでいる。人口減少が著しい地方圏はもちろんのこと、東京都や大阪府、愛知県といった三大都市圏でも目立ってきた。
東京都教育委員会のホームページを確認すると、2003年度末以降に閉校となった都立高校は全日制課程だけでも36校に及ぶ。むろん、すべてが入学者減を理由に閉校したわけではない。「新しいスタイルの学校」を目指して敢えて改組に踏み切ったケースも見られるが、それも将来的な15歳人口の減少を見越しての動きの要素が小さくない。
文部科学省によれば、公立高校は1990年には4182校だったが、2023年(学校基本調査の速報値)は17.4%減の3455校だ。全国1741市区町村のうち、公立高校が1つもない自治体は2021年5月1日時点で485(27.9%)にのぼる。「1校のみ」は606(34.8%)である。ゼロもしくは1校で計算すると北海道は82.8%に及ぶ。山形県、長野県、熊本県も8割台だ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポート「高校存続・統廃合が市町村に及ぼす影響の一考察~市町村の人口動態からみた高校存続・統廃合のインパクト~」(2019年)によると、1990 年時点で公立高校が1校存在していた1197市町村のうち、2019年時点では245市町村から公立高校が無くなっている。