「現在の高校」を前提とした対応はいずれ行き詰まる
公立高校で統廃合が進む現状に対し、専門家には「安易に進めるべきではない」といった否定的意見が少なくない。「地域と協働した特色ある学校づくりを図るべき」といった意見も出ている。
これを踏まえて、県外からの生徒を確保すべく全国募集に踏み切ったり、特色ある学科や部活動の新設に活路を見出そうとしたりする試みも広がっている。だが、これらは地方自治体の移住促進策と同じ発想だ。日本全体として出生数の激減が進んでいくのに、他地域の生徒を奪い合うような手法は長続きしない。
高校ではなく、自治体そのものが「消滅」の危機にあるのだ。他の地域インフラの維持が難しくなっているのに、高校だけを残そうという発想は現実的ではない。
そもそも、統廃合は最終的な解決策ではない。ハイペースで15歳人口が減っていくからだ。統廃合したとしても定員割れが続く高校がやがて珍しくなくなるだろう。「現在の高校」の在り方を前提としてアイデアを練り続けていたのでは、何度も統廃合を繰り返した挙句に行き詰まることとなる。
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