見舞いに来なかった長男と次男への不満を遺言書に反映
「気持ち」の変化を動機として書き換えるケースも多い。
2年前に心筋梗塞の手術を受けたCさん(75才)は老いを実感し、3人の息子に平等に分け与えるよう遺言書を書いた。その上で、長年同居して面倒を見てくれた三男に気持ちの分だけ多く与えようと少額を生前贈与すると、残りの2人が「不公平だ!」と猛反発。これにCさんは激怒した。
「長男と次男は私が大病になっても見舞いにも来なかったのにふざけるなと思って、平等に財産を分けた遺言を書き換えて三男に多く渡るようにしました。それだけでなく“万が一、この内容に不満を唱えた者には一切の遺産を相続させない”という文言を付け加えました。遺言書を書き直すことができて満足しています」(Cさん)
Dさん(61才)も大病をきっかけに遺言書を書き換えたひとり。Dさんは8年前に熟年離婚し、その3年後に再婚した。再婚相手には成人したばかりの娘がいて、Dさんとも関係は良好だった。
「私にも2人の娘がいますが、再婚相手の娘も自分の子供だと思って接しています。私は離婚した際、元夫から財産分与として1000万円ほどもらったので、何かあった場合を考え、3人の娘に平等に渡るように遺言書を書きました。
けれど2022年、脳梗塞で倒れたときに気持ちが変わりました。術後、実の娘たちは頻繁にお見舞いに来てくれたのですが、連れ子の娘が来たのは1回のみ。忙しかったからだと思いますが、残念で。それに、死を意識するとどうしても実子のことがかわいく思えてきてしまい……やはり2人に多くあげたいと思って、遺言書を書き直しました」(Dさん)
遺言書を一度書いてもそれで終わりではない。気持ちや状況の変化で、何度でも書き直すことができるのだ。
※女性セブン2024年1月1日号