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【大宮のタワマンに引っ越して後悔した話】中学受験戦争から逃れようと埼玉に そこは「高学歴専業主婦のガチお受験ママ勢」の棲家だった

親たちも過熱する中学受験の実態とは(写真:イメージマート)

親たちも過熱する中学受験の実態とは(写真:イメージマート)

 東京から離れたら中学受験戦争から解放される。そう期待する層も一定数いるだろう。ただ、地域によっては、中学受験に対する関心が格段に高いところもあるという。そのような地域と東京の違いはどこにあるのか。著書『中学受験 やってはいけない塾選び』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする「タワマンと中学受験の関係性」の最終回。【全6回。第1回から読む

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 タワーマンションと中学受験はセットで語られることもあり、そして、タワマンに住んで中学受験をさせる、というライフスタイルはなぜか反発を招きがちだ。『タワマンに住んで後悔してる』(KADOKAWA、窓際三等兵原作・グラハム子漫画)というタイトルのコミックも話題になっている。この作品の中に、海外帰りの専業主婦・恵が、商社マンの夫が独立・起業に失敗し、埼玉に引っ越すことになり、競争から降りられるとホッとする描写がある。だが、この恵のストーリーは現実とは異なる一面もある。なぜなら、埼玉は東京よりも受験に熱心なママたちが多数いる場所だからだ。

 前回記事では、「埼玉なら中学受験をさせないで済む」と考えて引っ越したのに、その計画が狂ってきたB子さんの話を紹介した。彼女は「娘たちが地元の公立中学から県立浦和一女や大宮に進学してくれたら、助かるな」と当初は考えていたが、埼玉の大宮地区のタワーマンションに入居したことにより、その計画に暗雲が立ちこめた。

 タワーマンション内はキッズスペースも充実しており、子育て世帯の交流が盛んだ。B子さんの夫はアイドル集団、ハロープロジェクトの熱心なファンで、その趣味を通して、パパ友を増やしていった。

「夫が仲良くなった“ドルヲタ”パパさんが高校から開成なんですよ。そのパパが教育オタクで、息子さんを中学受験させるべく、幼児のうちから公文に通わせていました。とても頭がいい人で、全部、ちゃんと納得できる説明をするんですよ。子どものうちに計算ドリルをやらせた方がいい理由とか、小学生のうちは英語はそこまで気合いを入れなくていい理由とかを、論理的に話すんです。その話にうちの夫も感化されてしまって、教育や受験に興味を持つようになっていったんです」

 マンションには開成や城北、豊島岡、立教新座、浦和明の星といった私立校の制服を着た子どもが多くいるという。

「そういう子たちのパパやママたちの話を、夫が興味津々で聞きいっていると、“文化祭でうちの子が演奏をするから来てください”と誘われるんです」

 いくつかの文化祭に行った結果、夫と長女はすっかり中高一貫校に魅せられてしまった。

「公立育ちの夫は、私立校の設備に感動したようです。茶室があることに驚いていて。娘も文化祭で素敵なお姉さんたちに優しくされたら『ここに通いたい!』と思っちゃうわけですよ」

 埼玉全体では中学受験率はそこまで高くないが、大宮や浦和などのタワーマンションには、受験に関心を持つ層が多く集まるようだ。そして、そのタワーマンションの中でも受験に熱心な人たちがつながっていく。中学受験から逃れるために埼玉に来たのに、実は文京区や港区とは違うベクトルで「受験熱の高い」場所に住んでしまったのだ。

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