「四球は安打と同じ」発言が生んだ快進撃
今季の阪神では、この「査定」が選手のプレーに大きな影響を与えたといわれている。今年から就任した岡田彰布監督は「四球は安打と同じ。四球の年俸査定を上げてくれ」と球団に直談判した。その甲斐もあってか、阪神の四球は昨年より136個も多い494個に達し、チームの快進撃を下支えしたとする評論家も多い。
査定はプレーの細かな部分までチェックするため、選手のはたらきに影響する部分も少なくない。スポーツ紙デスクはこう話す。
「もちろんチームとしての年俸総額には限りがありますが、選手個人から見れば対前年比で自分の年俸がどう変わるかが問題。球団の査定は細かい点数を積み重ねる。打撃なら、本塁打はもちろん、ヒット1本でも先取点につながる1本か、サヨナラ勝ちになった1本かなどで評価が変わってくる。こうした点数の積み重ねで評価が決まっていく。
査定担当者は全ゲームを観戦し、スコアをつけながら査定します。監督やヘッドコーチに対し、『この1塁ゴロはランナーを進めるためのサインに従ったものか』『空振りは盗塁を助けるためのサインか』など、細かくチェックする。サクリファイス(犠打)も加味され、選手サイドから文句が出ないような査定ポイント形式になっています」
サインの見落としや併殺といったマイナス要素もあるが、基本的にはプラスになる項目が中心だという。
「難しいのはキャリアの評価。同じ査定点数で、入団2年目の選手と10年目の選手がいたら、10年目の選手のほうが評価額は高くなる。今年の点数だけでなく、過去の点数も積み重ねもあるし、年功序列の要素もあるのです。高額年俸のベテラン選手をシビアに点数通り減俸できれば楽ですが、減俸制限もあるので貢献度が低いのに現状維持のようなかたちが増えがちです」(前出・スポーツ紙デスク)