2033年には4戸に1戸が空き家になるという予測も
12月13日から、空き家をめぐるルールが大きく変わった。
「改正空家等対策の推進に関する特別措置法」(改正空家特措法)が施行され、新たに「管理不全空き家」という区分が設けられる。国が空き家対策の強化に動いたのだ。
「2015年に施行された空家特措法では、倒壊などの危険がある空き家を『特定空き家』に指定できるようになりました。指定により建物の除却や固定資産税の優遇措置を外せることなどが定められましたが、今回の改正法ではより素早く問題に対応できるように、“特定空き家になる恐れのある家”について『管理不全空き家』という区分が新設された。指定されると行政から指導が入り、従わないと特定空き家に指定されます」(上田氏)
もともとの空家特措法の実効性が十分でないと判断され、国が規制強化に乗り出した格好だ。背景には、全国的な空き家の急増という問題がある。
総務省「2018年住宅・土地統計調査」によると、日本の総住宅数約6241万戸に対して空き家は約849万戸。13.6%の家に誰も住んでいないことになる。2033年には4戸に1戸が空き家になるという予測まである。
空き家問題に詳しい司法書士の旭祐樹氏が指摘する。
「空き家が増えた原因は、住宅が建っている土地の固定資産税を6分の1など大幅に軽減する『住宅用地特例』の存在が大きい。建物を取り壊して更地にすると固定資産税が高くなるから、“空き家のままでいい”と考える人が多いのです。ただし、今回の法改正により、空き家を放置したことで特例から外れ、固定資産税が6倍になるケースが増えるとみられます」
※週刊ポスト2023年12月22日号