実家のしまいどきは難しい。親にもなんだか相談しづらい。でも、先延ばしにすればするほど、維持費がかさむ──。最新刊『実家じまい終わらせました!』が話題のタレント・松本明子さん(56才)が「私と同じしくじりをしないでください」と自身の失敗談を告白する。
* * *
「実家じまい」に25年もかかっちゃいました。その間、積もり積もった費用は、なんと1800万円超! なかなか踏ん切りがつかずに先延ばしにしていたのが大失敗でした。家財や遺品の整理も含めて、まさか実家の始末がこんなに大変だなんて思っていませんでした(笑い)。
〈吹っ切れたように笑顔で語るのは、タレントの松本明子だ。会社勤めをしていた松本の父が香川県高松市の郊外に家を建てたのは1972年、松本が6才のとき。約90坪の敷地に、総ひのき造り5DKの平屋建ての立派な家で、費用は建物が約2000万円、土地代が約1000万円だったという〉
父にとっては念願のマイホームで、こだわりがすごかったんです。神社やお寺を手がける宮大工さんに、釘などの金物を使わない「木組みの家」を依頼しました。庭には大きな庭石や石灯籠、家の周りに石垣まで造っちゃって。
〈松本は中学卒業後にアイドルを目指して上京。『TVチャンピオン』(テレビ東京系)、『電波少年』(日本テレビ系)などでブレークし、27才で両親を東京に呼び寄せた。それ以降、両親は松本が都内に建てた家で暮らしたので、高松の家は空き家になった。松本の父が他界したのは、2003年のことだった〉
亡くなる少し前に病室に見舞いに行ったとき、父が私をじっと見つめて、絞り出すようにこう言ったんです。
「明子、実家を頼む」
大事な家を残してもらいたいという思いと、私が芸能界をやめて高松に帰ることがあるかもしれないという思いがあったんでしょうね。その4年後に母が亡くなりました。私は自分でも驚くくらい打ちひしがれて、まったく片づける気になれなかった。実家じまいに時間がかかったのは、父の遺言と、母の死があったからです。向き合う時間が必要だったのは確かですが、それにしても、ちょっと遅すぎたかな……。
〈実家には掃除や換気のために定期的に戻っていたという松本。2011年の東日本大震災の後には「もしものときの避難場所に」と、いつでも住めるように350万円ほどかけて実家をリフォームしたという。ついに実家じまいを決意したのは、母が亡くなって10年が経ったときのこと〉