12月13日から、空き家をめぐるルールが大きく変わった。「改正空家等対策の推進に関する特別措置法」(改正空家特措法)が施行され、新たに「管理不全空き家」という区分が設けられる。国が空き家対策の強化に動いたのだ。空き家問題に詳しい司法書士の旭祐樹氏が指摘する。
「空き家が増えた原因は、住宅が建っている土地の固定資産税を6分の1など大幅に軽減する『住宅用地特例』の存在が大きい。建物を取り壊して更地にすると固定資産税が高くなるから、“空き家のままでいい”と考える人が多いのです。ただし、今回の法改正により、空き家を放置したことで特例から外れ、固定資産税が6倍になるケースが増えるとみられます」
空き家をめぐってどのようなリスクがあるのか、実例を見ていく。
【ケース1】隣家からの損害賠償
神奈川県在住の60代男性Bさんは、いきなり警察からの連絡を受けた。
「埼玉の実家が長らく空き家状態だったのですが、台風で庭の大きな木が倒れて隣家の塀と車を壊してしまったという連絡でした」
火災保険にも入っていなかったので、Bさんは修理代などで500万円を請求されたという。NPO法人空家・空地管理センター代表理事の上田真一氏が解説する。
「空き家といえども所有者には民法717条に定められた『工作物責任』があり、土地の上にある工作物の瑕疵や欠陥によって他人に損害が生じた場合は賠償責任が生じます。空き家の管理が行き届いていないことが原因での損害であれば、責任を問われるわけです」
雪深い地域では、屋根の雪かきを疎かにしたために通行人にケガをさせてしまうといった事例が少なくないという。そうしたリスクに対応できる火災保険などへの加入が必要になるが、当然ながら保険料を負担しなくてはならない。