【ケース2】気がつけばゴミ屋敷に
相続した実家の片付けに悩まされるケースも多い。都内在住の60代男性Cさんが言う。
「父が先に亡くなり、母が一人で実家に住んでいましたが、コロナ禍で帰省を控えているうちにテレビショッピングにハマり、収納からはモノが溢れていました。そんな状態で母が亡くなり、最後は取り壊しの際に廃品回収業者に依頼しましたが、100万円ほど費用がかかりました」
Cさんは片付けのために関西の実家と何往復もしたため、交通費だけでも10万円以上かかったという。
「親の家は想像以上にモノが溢れています。片付ける子供にも思い出が甦ってきて、うまく進まないケースが多い。親のモノを処分することに罪悪感を覚え、何年も片付けができなかったという人もいます」(上田氏)
【ケース3】親族と金銭トラブル
空き家が親族間の揉めごとのタネになった経験を明かすのは、大阪府在住60代男性Dさん。
「私が実家を相続して空き家になっていたのですが、近くに住んでいた叔父が300万円かけて更地にしたんです。生前の父が叔父に、『土地が売れたら、そのお金を私と叔父で分けていいから管理してほしい』と伝えていたとのこと。叔父は『500万円で売れるから』と自信満々で更地にしたものの売却額は200万円にしかならず、大赤字に。解体費用も叔父から請求されて、大揉めですよ」
一般的に、老朽化した建物があるより更地にしたほうが買い手は付きやすいが、売却額が期待した水準に届かないことは少なくない。上田氏が言う。
「都市部はまだしも、地方の空き家はなかなか売れないし、借り手も付きにくい。改修したり更地にしたりしても、思い通りに事が運ぶとは限らないので、それを理解したうえでどこまで力を入れるかの見極めが必要になります」