解体時の得する制度
実家を取り壊すことになったら、使える制度がないかを調べる。前出・旭氏が指摘する。
「解体にかかる費用は一般的に100万~200万円ほど。市区町村によっては空き家対策に補助金を出しており、まずは自治体に問い合わせてみるのがいいでしょう」
たとえば東京都大田区では、耐震基準が変わった1981年5月31日以前に建てられた木造住宅を解体する場合、施行費用の2分の1~3分の2(上限50万~75万円)を補助する。古い住宅のほうが、補助金の対象になりやすいということを覚えておきたい。
必ず「滅失登記」を
建物を取り壊して更地にしたら、必ず「滅失登記」を行なう。
「個人での手続きもできますが、プロの土地家屋調査士に依頼するのが望ましく、費用は5万円ほどです」(旭氏)
滅失登記をしないと土地の売却ができない可能性がある。また、滅失した日から1か月以内に手続きをしないと10万円以下の過料を科される。
「両手仲介」に注意
更地にした土地を売りに出す段階になると、本格的に不動産業者と媒介契約を結ぶことになるが、ここでも注意が必要だ。
「不動産業者の収入源は契約成立時の成功報酬である仲介手数料ですが、売り主から依頼を受けた業者が買い手も見つけてきて双方から手数料を取る『両手仲介』には注意したい。売り主と買い主からダブルで手数料を得られるので、売り主の希望する売却価格で買ってくれる人を探すことよりも、多少、価格を下げてでも物件を売ってしまうことを優先する業者がいて、問題視されているのです。
また、媒介契約の形式にも注意が必要で、『専属専任媒介契約』『専任媒介契約』を結ぶと他の不動産業者に依頼できません。不動産業者との契約は概ね3か月なので、これらの契約を結んで3か月経っても進展がなければ、他の不動産業者にも依頼することを考えたい」(上田氏)