親が亡くなった後の実家をどうするか──あまり交通の便が良くない場所に建っていたり、古くて傷みが目立っていたりする実家を放っておくと近い将来、「負動産」となり、大きな負担となりかねない。だからこそ、家族で「実家じまい」の話し合いを進めなくてはならない。
実家じまいの具体的な手順を別掲のフローチャートにまとめた。参照しながら読み進めていただきたい。【前後編の前編。後編を読む】
親、兄弟姉妹と話す
まずは「生前の家族会議」からスタートする。NPO法人空家・空地管理センター代表理事の上田真一氏は言う。
「親が元気なうちに、実家をどうしたいか話し合うことが大事です。ただし、切り出し方によっては親が怒ったり、不安感を抱いたりするので、『お母さんはこれからこの家をどうしたいの?』と、親の意向を尊重する聞き方を心掛けることが大切です」
年末年始の帰省は、話し合いのタイミングとしてちょうどいいだろう。
話し合いに先立ち、のちに実家じまいする時に余計な手間がかからないように、実家の不動産の名義も確認しておきたい。
所有者が親ではなく、亡くなった祖父母のままというケースがあるからだ。そうなると、親が亡くなった際の相続手続きで、祖父母の相続人全員の押印が必要になるなど、膨大な手間がかかる。問題があれば、早めに手を打っておく必要があるわけだ。
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