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高齢男性に「尿もれケアグッズ」が普及しない背景 男性学研究者は「体に気を遣うのはカッコ悪いとの思い込みが強い」と指摘

尿もれ対策グッズ、高齢男性ほど敬遠する理由(イメージ)

尿もれ対策グッズ、高齢男性ほど敬遠する理由(イメージ)

 尿トラブル経験が多くなる高齢男性ほど、尿もれケアグッズを使わない。むしろ若い男性の方がケアグッズを使う──。そんなユニ・チャームの調査結果が発表された。浮き彫りになったのは、従来の「男性像」に固執する高齢男性の姿だ。

 尿もれは男女に関係なく、誰にでも起こり得る。男性は体の構造上尿道に尿が残りやすく、特に40歳以降は肥満や前立腺肥大などの影響により「尿トラブル」を経験する人が増える傾向にある。

 こうした背景からユニ・チャームは2014年に男性専用の尿もれケアパッドを発売。以来、ラインナップの拡充に努め、今年4月にはパッドよりも薄く気軽に下着感覚で着けられる「ライフリー さわやか男性用快適シート」を発売。さらに11月21日には、同商品の“お試しサイズ”ともいえる10cc用5枚入りの商品を期間限定発売した。

 パッケージはまるでマスクかのようなデザインで、気軽に手に取ってもらおうという狙いが伝わってくる。背景には、“悩みがある人にまだまだ届いていない”という思いがあったという。

高齢になると尿トラブルが増えるのに「男がそんなもの…」

 同社によれば、男性用尿もれケア用品の市場規模は参入当初の7倍以上に拡大。一方で今年6月に行った「男性の尿トラブルとケア方法」に関するアンケート調査(20代~60代の男性1009名対象)によると、尿トラブル経験を「ある」と回答した最多世代は50代で65%。続いて60代以上が62%、40代が53%、30代39%、20代37%だった。

 ただし、尿トラブルの経験があると回答した人のうち、ケアグッズを使ったことがあるとした人は、50代で3%に過ぎない。60代9%、40代11%と続くなか、30代は19%、20代26%と、経験割合と反比例するようにケアグッズの使用割合は高くなった。上の世代ほど尿トラブル経験は多いのに、頑なにケアグッズを使いたがらない人たちがいることがうかがえる。

 神奈川県在住で、70代の夫を持つ同世代の女性・Aさんが嘆く。

「昔から夫の下着に染みている尿モレは気になっていたのですが、年齢とともにシミも多くなった気がします。そして下着にシミができているとにおいもするので、一緒に暮らしていて気になるというのが本音です。

 もう亡くなった父の初期介護の時に買っていた尿モレケア用品が沢山余っているので、夫に“使ってみたら?”と勧めたことがあるのですが、意地を張って使わない。私も女性用のものを使っているよと言っても、“男がそんなもの……”“俺は病人じゃない”などといって手に取ろうとしません。使えば下着も汚れないし、本人も快適だと思うんですけど、頑固なんですよね」(Aさん)

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