男が体に気を遣うのは「カッコ悪い」という風潮
11月19日の「国際男性デー」を前にユニ・チャームが開催した勉強会で、田中氏は「男性の性が雑に扱われている」こと、また「不真面目にしか語られない」現状を指摘していた。では、身体のケアに気を遣い、また真面目に取り上げることが憚られてきた背景には何があるのか。
「男らしさは達成と逸脱によって証明されます。本来性的な話題は、公の場でははばかられるはずのものなので、不真面目にしか話題にできない。しかし、自分はそのルールを破って堂々と話せ、しかも、真面目に話さず笑いに昇華できる、そういう俺は『すごい』ということだと思います。
男が体に気を遣うのはカッコ悪い、という風潮がいつからなのか厳密には分かりませんが、長時間労働に耐えるのを『当たり前』と思い込ませるための重要な前提だと考えられるので、高度成長期、会社で雇われて働くことが一般的になる中で普及したのではないかと思われます。
例えば、“出世する男は昼飯に時間をかけない”というような発想にも、それが典型的にあらわれているのではないでしょうか」
田中氏は、「“過去の男性性”に縛られたままでいると、頑固なおじさんという評価ばかりが強くなり、孤立してしまう」と話す。時代によって価値観は変化する。自分自身が無理に変わろうとせずとも、自分が思い込んでいる「当たり前」を疑ってみることができるかどうか──。(了)