「この件をきっかけに、ご主人の収入は1000万円近いんじゃないか、親族からの金銭的なサポートがあるんじゃないか……などと、とにかく相手の懐事情が気になるようになってしまったんです。
我が家では、夫の収入に私のパート代を足しても、ママ友たちが行くような年末年始の旅行は絶対に行かれません。どうやったらそんなお金が捻出できるんだろうと気になってしまいます」
ナオコさんも年末年始の旅行に行きたいと夫に訴えたそうだが、「うちは無理だよ」の一点張り。悔しかったものの、収入的にも叶わないことは知っていたので強くは言えなかったそうだ。今年の年末年始は近場でお金のかからないイベントに参加するつもりだが、「数年後には旅行に行けるよう貯金を続けたい」と話していた。
お盆や年末年始などハイシーズンの旅行は宿泊費用だけで通常価格の2倍以上になることもある。旅行費用にいくら使うかはその人や家庭の価値観次第だが、なかには、ナオコさんのように、日常生活では感じなかった経済格差の表れと受け取る人もいる。旅行の話題ひとつでそれまでの関係性が壊れるのは惜しく感じられる。違いは違いとして尊重し合える関係を目指してはどうだろうか。
【プロフィール】
吉田みく(よしだ・みく)/埼玉県生まれ。大学では貧困や福祉などの社会問題を学び、現在はフリーライターとして人間関係に独自の視点で切り込んでいる。マネーポストWEBにてコラム「誰にだって言い分があります」を連載中。同連載をまとめた著書『誰にだって言い分があります』(小学館新書)が発売中。