IT企業勤務の30代女性・Bさんも有料化に賛成。少なくともタダではなく料金を設定すべきだと言う。
「何でも無料に慣れ過ぎるのはよくない。日本人は税金や保険料を払っているとはいえ、医療や救急サービスには本来高額なお金がかかるということを理解した方がいい。1回1000円くらいの値段に設定すれば、少しは安易な利用の抑止につながると思います」
「金にものを言わせる人」が現れる恐れも
金融機関勤務の40代女性・Cさんは、有料化には反対という考え。理由は重症化する人や亡くなる人など、トラブルが増えるという予想からだ。
「救急車は、ただでさえどんな時に呼べばいいのか判断が難しいのに、有料化されると、よくも悪くも呼びにくくなってしまう。お金がない人や、もう少し様子を見ようと判断してしまう人が続出したら、結果的に亡くなったり重症化したりする人が増えるのでは。
例えば屋外で誰かが倒れていた場合でも、有料だと呼ぶか呼ばないか、第三者の判断が遅れてしまいそう。緊急事態と判断して呼んだとしても、その支払いは呼んだ人がするのか、呼ばれた人がするのかなど、後からトラブルが起きかねません」
Cさんは、「仮に救急車を有料化し安易な利用が減ったとしても、また別の問題が生じる」と慎重だ。
「お金が生じることで『客』という立場になるので、むしろ厄介なことになると思います。『金を払っているんだからさっさと運べ』というクレーマー的な人が出てきてもおかしくない。金にものを言わせる人が現れ、本当に医療が必要な人が救われない世界になってほしくありません」(Cさん)
救急車出動の原資は税金。安易な理由による緊急要請の増加は有料化どころか、さらなる増税を招く可能性もある。救急車の未来は、国民一人一人のモラルにかかっている。(了)