昨年は地政学リスクや物価上昇に見舞われながらも、日本企業は円安などの恩恵で過去最高益の更新が相次ぎ、日経平均はバブル後最高値を更新した。武者リサーチ代表の武者陵司氏と、日本金融経済研究所代表理事の馬渕磨理子氏が今年の日本経済の展望を見通す。【全3回の第3回。第1回から読む】
武者:どうしても人間は「隣の芝生は青い」と思うものです。私はバブル絶頂期の1980年代後半から米国駐在していて日本のバブルの恩恵を受けていないのですが、日本から出張してくる同僚が「財産を増やした」と聞くたびに、内心さざ波が立ちましたよ(笑)。他人が儲かった話を聞いて、「自分も株を買いたい」と動く人がこれから間違いなく増えてくると思う。
馬渕:そうでしょうね。だからといって有り金をすべてつぎ込まなくても、コツコツ積み立てて利益が利益を生む「複利効果」によって、資産は着実に膨らんでいきます。たとえば、20代から毎月7000円ずつ積み立てて、年率9%の利回りで運用できたとすると、45年間で3000万円になると試算できます。7000円ならちょっと節約すれば出せない金額ではないでしょう。人生100年時代ですから、50代から始めても80代まで30年間あるので十分間に合う。
アベノミクスが始まる直前、日経平均は8000円台
武者:馬渕さんは具体的にはどんな投資先がいいと思いますか?
馬渕:インデックス投資は押さえておきたい。配当を増やす傾向が高まっているので、「高配当銘柄」もトレンドですね。円安もまだ続くと思うので日本の基幹産業である製造業はいいと思います。
一方で、円高に振れた場合に備えて、今後の金利上昇を見越して「金融関連」の銘柄も押さえておけば、為替がどちらに動いてもリスクヘッジができるかなと思います。