米国の金利水準が高いことから、債券投資が注目されている。では、債券に投資するにはどんなメリットやリスクがあるだろうか。著書『元証券マンが教える 利回り18.5%を実現する米国債投資』(KADOKAWA)が話題の独立系ファイナンシャルプランナー・ようへい氏が解説する。
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債券投資、とりわけ米ドル建ての債券への注目が集まっています。米ドル建ての債券が注目されている最大の理由は、米国の金利水準が高い=米ドル建て債券の利回りが高くなっているからです。
米国10年債利回りは、2023年9月現在では4%台前半で推移しており、2008年のリーマンショック以後では最高値水準となっています。2023年8月には一時、リーマンショック後の最高水準である4.3%もつけました。
米国10年債利回りはリスクフリーレートとして、全ての米ドル建ての利回り商品の基準となります。つまり、米国10年債利回りが上昇しているということは、世の中のあらゆる米ドル建て債券の利回りも上がっているということです。ドル建て債券全般の利回りが上昇している今が絶好の買い時だからこそ、多くの投資家が債券投資の中でも米ドル建て債券に注目しているのです。
金利が高い状態での債券投資のメリット
市場金利が高い状態で債券を購入すると次の2つのメリットがあります。
【1】高い利回りを固定して満期まで保有できる
債券は基本的に、購入時の利回りや利率が償還時まで続きます。つまり、現在の高い利回りの状況で債券を購入すれば、高い利回りをロックしたまま、償還期限まで保有できる大きなメリットがあります。
例えば、今から残存期間が10年の米ドル建て債券を購入すれば、仮に保有中に金利が低下しても、購入時の利回りのまま10年間保有できます。
2023年9月現在の米ドル建て債券の大まかな利回りのイメージとしては、米国債が4%、社債が4~5%、期限付劣後債が5~6%、永久劣後債が6~7%、CoCo債では7%以上の債券もあります。全ての銘柄が該当するわけではありませんが、ある程度のリスクを許容すれば、6~7%の利回りで運用することも可能な状況です。
上記の図はSBI証券の米ドル建て債券のラインナップの一例です。米国債で利回りが約4%、三井住友フィナンシャルグループで5.2%強、インテルで4.7%強です。なお、全て残存期間が6年以上の債券なので、この利回りのまま6年以上保有できます。
一般的に株式インデックス投資の年率平均リターンは5~7%と言われています。この10年は基本的に株価は右肩上がりだったため、数年以内に多少の調整が入るかもしれません。つまり、2023年9月現在は米ドル建て債券を購入すれば、株式投資と同等程度のリターンを株式投資よりもはるかに低いリスクで得られる可能性があるので、注目されています。