【2】金利が低下していくと値上がり益を狙える
債券の特徴として、金利と債券価格は逆相関の関係にあります。金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が低下すると債券価格は上昇します。つまり、米国の市場金利が高い時だからこそ米ドル建て債券を購入し、金利が低下した時に売却すれば大きな値上がり益を得られるチャンスがあるということです。
ちなみに、債券でキャピタルゲインを狙う場合は、格付けの高い長期債を購入しましょう。100%確実というわけではありませんが、格付けの高い債券の方が金利変動に対して単価が綺麗に反応しやすく、残存期間が長いほど債券価格のボラティリティが大きくなりやすいのでお勧めです。もちろん高格付けの代表例は米国債でしょう。
結論をまとめると、2023年9月現在は米国の市場金利が高いので、米ドル建て債券の利回りも高くなっており、債券投資の王道であるインカムゲインを狙うにはピッタリの状況と言えます。
そして、将来的に金利が低下していくと債券価格が上昇していくので、キャピタルゲインも狙える局面です。インカムゲインとキャピタルゲインの二刀流で利益を取れるチャンス相場だからこそ、米ドル建て債券が注目されている最大の要因です。
債券投資には5つのリスクがある
債券は金融商品の中でも比較的リスクが低い商品ですが、リスクがあることには変わりありません。債券の主なリスクについては、以下の5点が挙げられます。
【1】信用リスク
【2】価格変動リスク
【3】流動性リスク
【4】為替変動リスク
【5】カントリーリスク
どのようなリスクなのか、一つずつ見ていきましょう。
【1】信用リスク
信用リスクとは、債券の発行元である発行体が財務悪化やデフォルトなどで利金が支払えなくなる、元本の返済ができなくなるというリスクです。基本的に、リスクが高い債券ほどリターンが大きくなります。
・信用リスクが高い→投資家を集めるために利回りが高くなる
・信用リスクが低い→投資家が集まりやすいため利回りが低くなる
という傾向があるからです。
信用リスクを測る指標として格付けがあります。格付けとは、格付け機関が信用度を調査し、数値化したものです。格付け機関はムーディーズ、S&P、フィッチ・レーティングスが3大格付け機関とされており、この3社の格付けを見るのが重要です。日系ならJCR、R&Iが有名です。
格付け機関によって格付けの表現は異なりますが、アルファベットで表されていることが多く、AからDまでの組み合わせで格付けされます。AAAが最高ランクで、Dに近づくほど信用力は低いと判断されます。なおDはデフォルトを意味することが大半のため、投資対象として見かけることはないでしょう。
基本的にトリプルB以上は投資適格と呼ばれ、比較的信用リスクが低く、BB以下なら投機的格付け(投資不適格)と呼ばれ、比較的信用リスクが高いとされています。ただし、格付けが高いほど利回りが低くなるので、信用力が低いことが悪とは一概には言えません。格付けを目安にしながら、利回りと自身のリスク許容度と相談して投資をした方が良いと思われます。
【2】価格変動リスク
債券価格は日々変動しています。そのため、売却する時に売却価格が購入時の価格を下回り、損失が出てしまうケースがあります。例えば、単価100で購入した債券を単価90で売却してしまうと、10の損失が発生します。
債券価格は需給、債券の信用力、金利動向で変動します。特に高格付けになるほど金利動向は重要で、金利が低下した場合は債券価格が上昇しやすく、市場金利が上昇した場合は債券価格が下がりやすくなります。反対に低格付けになるほど金利動向よりも、その発行体の個別要因で債券価格が動く傾向があります。
債券を売却する時は、金利の動きに注意しておきましょう。なお、満期まで保有する場合は価格変動リスクは発生しません。