直前で志望校をランクアップした結果…
Nさん(40代/男性)は昨年娘が中学受験に挑んだが、見事に全敗。「落ちたのは自分のせい」と反省の弁を口にする。
「娘が中学受験の準備を始めたのは小学校5年生の時。周りよりやや遅いスタートでしたが、本番直前にグッと成績が伸びて、欲が出てしまったんです。塾の先生からは『伸びしろがある子供は、最後の半月で偏差値が5ぐらい伸びることもある』などと言われ、本人は無理だと言うのに、直前で志望校をランクアップ。“1校ぐらいは引っかかるのでは”という淡い期待を抱いて受験しましたが、見事に散りました」
結局、公立中学に進むことになったが、救いがあるとすれば、娘が「小学校時代の友達と同じ中学に通えて良かった」と言っていること。とはいえ、子供の意志を尊重せず、それが不合格という結果につながったことにNさんは唇を噛む。
「受けるだけ受けてみたら?」のセリフは罪深い
志望校のレベルが身の丈に合っていなかったのは、Iさん(20代/男性)も同じだ。Iさんは全国有数の進学高校出身。とはいえ、本人は自分のレベルがそれほどでもないことを把握していたが、周囲はそれを認めなかったという。
「私が通った高校は、同級生の大半が東大を受験し、そのうち半分ぐらいは合格するレベル。補欠で何とか合格した私が周囲についていけたのは中3までで、その後はどれだけ必死に頑張っても、差は広がるばかりでした。
高3になって志望校を決める際、私はMARCH(明治・青学・立教・中央・法政)あたりを第一志望にするつもりでしたが、父親から『せっかく○○に通ったのに東大を受けないのか?』と尻を叩かれ、教師からは『お前はやれば出来る。やってないだけ』と言われ、周囲のプレッシャーで東大、早稲田、慶応など、最難関校をターゲットにすることに。
友人からの『受けるだけ受けてみたら? 受けなきゃ絶対に受からないんだから』というセリフは罪深かったですね。結局、2浪した末にMARCHの一校に通うことになりました。それなら最初から自分の意志を貫くべきでした」
結局、進学するのは受験生本人。自身で決断した受験先なら納得もいくだろうが、他者にその判断を委ねると後悔が残りがちとも言えそうだ。「受験不合格体験記」後編では、受験生たちの勉強方法の失敗について、振り返ってもらう。
(後編につづく)