転売について「悪いことをしているとは思わない」
別の中堅私立大学大学院に通う男性・Bさん(23歳)は、自身が送った商品が「家族の手で転売されていた」と打ち明ける。
「僕の実家は上海にあります。中国でとにかく人気なのは、日本の風邪薬ですね。たとえばドラッグストアで購入できる『パブロン』は、僕の家族にもすごく人気で、日本の商品だから信頼性があると言っています。また、母と姉は日本製のフェイスパックを大量に送ってくれと頼んできます。美容の意識が高い日本人女性は韓国コスメを使っているようですが、中国では日本のドラッグストアで買える美容商品が人気です。僕が直接やったわけではないですが、頼まれて送った日本の敏感肌用の美容クリームを、家族がECサイトに出品していました」(Bさん)
同じ大学院に通う女性・Cさん(24歳)は日本の国産ブランドのバッグを転売したことがあるという。
「未だに根強い人気があるのは、ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)のBAO BAOというシリーズのバッグです。バオバオは中国語で“宝宝”と書いて、“赤ちゃん”という意味。私も母親と母の友人に頼まれて、大阪の百貨店で5つ購入して、浙江省の地元に送りました。転売というと言い方が悪いですけど、10個くらい仕入れて、中国のECサイトで値段を上乗せして売ったこともあります。
母親世代だけでなく、最近は中国の若者のあいだでもモードなファッションが好きな女性、とくに裕福な家の子はこのバッグを愛用しています。SNSでも日本のドメスティックブランドとして知られているので、それでニーズがあるんだと思います。転売自体については、仲介して商品を届けてあげているので、仲介料をもらっているという認識です。私個人としては、悪いことをしているとは思いません」(Cさん)
今回話を聞いた中国人留学生たちによれば、中国人が日本の商品を知るきっかけは、多くの場合WeiboやTikTokをはじめとするSNSだという。はたして中国人による買い占め・転売問題が落ち着く日は来るのか──。