どこで積み立てるか
何よりも足元の経済状況の変化がある。ファイナンシャルプランナー(FP)の深野康彦氏(ファイナンシャルリサーチ代表)が言う。
「加入時の低い金利が保険期間終了まで固定される貯蓄型保険は、今の物価上昇局面には相応しくありません。物価が下落している時と違って、インフレ下では『保険による貯蓄』に回したお金の実質的な価値がどんどん目減りしていくことになります」(以下、「」内コメントは深野氏)
年2%超の物価上昇局面を迎え、そこまでの金利がつかない貯蓄型保険のメリットが大きく減じているという指摘だ。
ただし、加入期間やこれまでに支払ってきた保険料の額などによって判断が変わるとも深野氏は指摘する。
「例えば払込満了間近の終身保険などを無理に解約する必要はありません。一方、『保険料の支払いが10年以上残っている』ような契約なら解約を検討できます。まず、『満期時の返戻金』と『途中解約時の返戻金+今後払う保険料』を比べます。
当然、前者のほうが多少は多くなりますが、後者を元手に1月スタートの新NISAなどで運用することで、満期時の返戻金額を上回れる見込みがあれば、解約も有力な選択肢です」
貯蓄型のなかでも、中高年の新規加入者が多いのは「個人年金保険」だ。前出の調査では40代後半の加入率が27.2%と40代前半までと比べて10ポイント近く上昇し、50代から60代前半は30%前後まで上がる。
子供が独り立ちして教育費などに目途が立ち、自身の老後資金の準備に取りかかる年齢層の利用が多いことが窺える。その個人年金保険に関しても、「自身で運用したほうがいい」という判断が成り立ちうる。