「老後破産の引き金になっては本末転倒」
大きな死亡保障は不要な年齢になっても、急な入院や手術に備え、医療保険は不可欠と考える人は少なくない。
そうした層に向け、保険各社は60代以降でも入れる掛け捨ての医療保険に力を入れるが、森永氏はこう指摘する。
「がんに限らず、医療費の大半は公的保険や公的補助でカバーできます。歳をとって『なんとなく不安だから』と保障をむやみに増やすと、保険料が家計を圧迫します。いざという時のために備えたつもりが、老後破産の引き金になるようでは本末転倒です」
保障額を考えても、保険料を払い続けるのは得策ではなく、その他の使い途にも回せる可能性のある貯金で備えるほうが望ましいという。
「一般的な掛け捨ての保険で受け取れる保険金は、入院保障が1日5000~1万円程度、手術給付金が20万円程度、がん保険で一時金が出たとしても100万円ほどでしょう。逆に言えば、大半の病気の治療、入院、手術は、100万~200万円の貯蓄があれば十分に賄えることになります」
保険に頼らずとも、病と闘うことはできる。
※週刊ポスト2024年2月2日号
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