「沈黙の臓器」といわれ、早期発見が難しいすい臓がん。私たちに節約の意味や楽しさを教えてくれた経済アナリストの森永卓郎さん(66才)は、そのすい臓がんステージIVと診断されたが、「実感としては何の変化もない」と言う。昨年11月の人間ドックで異変が見つかってから、2か月。治療と並行して彼が起こした行動とは。
「私もそろそろやばくなってきたんで。今日はUSBメモリーに入れて持ってきたんです。これ(番組)が終わったら、渡そうと思っています」
今年の元日に放送されたラジオ『新春経済スペシャル 森永卓郎と森永康平の親子経済学』(文化放送)でそう語ったのは、経済アナリストの森永卓郎さんだ。
昨年末、すい臓がんのステージIVを公表した彼が、ラジオで共演する息子の康平さん(38才)に託そうとしたのは、家族への思いを込めたUSBメモリー。入っていたのは、これまでに森永さんが築いた全資産のリストだ。同番組で森永さんは、遺産相続についてこう語った。
「絶対的なアドバイスが1つだけあります。資産のフルリストを作って、子供たちに渡しておくことです」
がんに気づいたきっかけは食欲不振
穏やかな語り口で経済をわかりやすく解説し、テレビやラジオ、雑誌のコメンテーターとして人気を博す森永さん。『年収300万円時代を生き抜く経済学』(2003年・光文社)がベストセラーとなった庶民派で、妻と2人の息子を持つ。ミニカーやグリコのおまけなど約12万点のコレクションを展示する「B宝館」を建てた“オタク”としても知られる。
緑寿(ろくじゅ)を迎えても意気軒昂に活躍していただけに、がんの公表が周囲に与えた衝撃は少なくなかった。
「近年は埼玉県の自宅近くにある農地を借り、朝から晩まで家庭菜園に励んで元気いっぱいだっただけに信じられません……。突然のがん、しかもステージIV宣告を本人は淡々と受け止めているようですが、周囲の関係者は一様に気を揉んでいます」(森永さんの知人)