広く参列者を募る「一般葬」がコロナ禍で大きく減ったことは別掲の円グラフを見てもよくわかる。今や“一般葬より一般的”になった家族葬で、注意すべきことは多い。
まず、トラブルが増える背景に、家族葬の増加によって葬儀社の収益が圧迫されているという現実がありそうだ。大阪市にある葬儀社の経営者はこう明かす。
「コロナ前の参列者は50~60人が当たり前でしたが、それが10人以下ということが珍しくなくなり、日程も短縮される傾向にあります。そうなると生花や供物、食事、返礼品などの需要も低迷し、売り上げはコロナ前から3~4割は減った。コロナが収まっても家族葬が主流のままだから、祭壇や棺、会葬者へ振る舞う料理のグレードアップなど、オプションを増やして、葬儀社がなんとか売り上げを立てようとする傾向があります」
複数社の「見積もり」を取るのが望ましい
葬式・お墓コンサルタントの吉川美津子氏は「家族葬だから大幅に費用が削れると考えるのは誤り」と指摘する。
「会場を小さくするなどして多少は費用が抑えられることもありますが、棺や安置所の費用は必要だし、葬儀社の人件費もあります。広告などで“家族葬20万円~”などとあっても、それはあくまで広告の文言。そもそも、20万円といった価格で葬儀をするのは現実的ではないと認識する必要があります。実際に見積もりを取って初めて費用がわかると考えましょう」
不安があるなら、親が存命のうちに検討を始めるとよい。
「地元の複数の葬儀社から見積もりを取れば、地域の相場がわかってくると思います。各社の見積もりを比べることで、安置所や祭壇などにかかる常識的な費用が認識できるでしょう」(吉川氏)