2024年1月から始まった「新NISA(少額投資非課税制度)」。非課税期間が無期限になりいっそう使い勝手がよくなったが、だからこそ、悩ましい問題も浮上してくる。運用した投資信託などの商品を「いつ売ればいいのか」という問題だ。これに対し、多くの専門家たちは「まとまったお金が必要になるまで、ずっと売らないのが正解」と、口を揃える。
住宅購入の頭金や子供や孫の学費といった大きな支出がない限り持ち続け、いずれは老後資金にするのが理想的な新NISAの使い方なのだ。一方、やってはいけないのが「値動きに振り回されて売ること」。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんが解説する。
「個別株ほど大きくなくても、投資信託も日々値動きするのが当たり前です。目先で上下するたびにあわてて売ったり買ったりしては、投資信託の意味がない。たとえ大きく値下がりしても、その後5年、10年と辛抱強く持ち続け、最終的なリカバリーを待って売るつもりで運用を続けてください。期間を気にせず持ち続けられるのは、個人投資家ならではの“武器”です」
投資の世界では、「買った値段から3割下がったら損切りする」といった考えもあるが、長期運用が前提ならそもそも「損切り」にとらわれてはいけない。ましてつみたて投資枠で定額の積立投資をしている場合は、下がったところで多く変えるので、平均買付単価を下げることもできるのだ。ファイナンシャルプランナーの藤川太さんが言う。
「値下がりしても、経済や企業が成長を続ける限りは回復が期待できます。長期での運用を前提に投資したなら、できるだけ売らずに持ち続けましょう」