盟友たちとのライブは「同世代に楽しんでほしい」
中尾の決意を知らされた正司は、「そんな大層な」と謙遜しながら語る。
「コロナ禍で長く仕事をしてなかったからお話をいただいてうれしかったですよ。ただオファーから本番までけっこう時間があるから、“それまで命が持つかな?”って心配でした(笑い)。年も年だし、何があるかわからへんから。そんな怖さがあるのに、中尾さんはよう声をかけてくれはりましたわ」
固い絆で結ばれた2人は、50年以上前のテレビ番組が初めての共演になる。当時の印象を正司が振り返る。
「中尾さんはまだ10代でしたが、無口で落ち着いてはった。ほかの若い子は賑やかなのにやたら冷静で、だからか私は気を使わず接することができました」
初対面から長い時を経て、2人が同じステージに立った『ザ・デイサービス・ショウ』では、中尾のリクエストで正司が30年ぶりにギターを披露した。最後の公演から5年ぶりとなる2月のライブでも正司はギターの演奏に挑戦する。
「前回のミュージカルでは“ギターを弾いてほしい”と中尾さんに頼まれたのがうれしくて、一生懸命練習しました。でもいまは全部忘れてしまい、またイチから練習せなあきませんわ。まだ譜面をもらってへんから、心配でドキドキしてんねん(苦笑)。でもまあ、この年でドキドキや緊張感を感じられるのは、ありがたく思わなあかんね」(正司)
正司さんの元気な姿を見るとまだまだがんばれる──そう中尾が話していたと伝えると、「よう言いはるわ」と正司はパッと明るい表情になった。
「ウチなんて大したことあらへんけど、中尾さんは努力家で根性もある。ホンマにしっかりしてて、共演者にもスタッフにも嫌な感じを与えず、着るモノひとつにしてもおしゃれですてきです。いろんなことを楽しんで生きているから、イキイキしているんやろうな」
正司をはじめとする盟友たちと共演するライブイベントについて、中尾は「同世代に楽しんでほしい」と抱負を語る。
「私と同じ団塊の世代は人数が多くてまだ元気なのに、世の中にはこの年代が楽しめる環境が少ないんです。だから今度のライブは同世代に楽しんでほしい。何日も前から何を着るかウキウキして、当日は久しぶりにおしゃれをして都会に出て、終演後にみんなで楽しく食事をする。そんな非日常のひとときをワクワクしながら過ごしてほしいですね」