「自分は絶対に大丈夫」と高をくくっていても、被害にあってしまうのが詐欺というもの。ネットニュース編集者・中川淳一郎氏の知人・Aさんも、ネット通販でリュックを買おうとして7390円の振込をした後で、それが詐欺サイトだということに気付いたという。前編では、その顛末とさらなる詐欺地獄に陥る危険性について報告したが、後編では警察に相談に行ったAさんが、サイバー詐欺等を担当する刑事から聞いた「詐欺サイトの特徴」や「詐欺にひっかからないための注意点」について、レポートする。【前後編の後編。前編から読む】
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私の知人・Aさんが、刑事と話した内容は以下のようなものです。
──今回、ショッピング詐欺に遭って、まんまと振り込んでしまいました。しかし、振込後、「在庫がなかったので返金する」というメールをもらいました。このメールに返信したら、返金してもらえる可能性はあったのでしょうか?
刑事:この手のメールが来た場合は放置しておいたほうが良いです。メールに書かれているように「返金します」なんてことは絶対にない。一度振り込んだ人間は「こいつは詐欺にひっかかるヤツだ。次の個人情報をさらにむしり取るか」と考えるだけでしょう。
――なるほど。実際のメールには、「返金を考えるならLINEのQRコードにアクセスしてほしい」と記してありました。
刑事:最近は、振込詐欺をさせた後に、LINEなどに誘導して、さらに個人情報を引き出すパターンも増えています。ほかにも多いのが、「返金するから」と言って、PayPayなど電子マネーに誘導し、なんだかんだ理由をつけて、個人情報を吸い上げたうえ、より巨額のお金をむしり取るというパターンです。
特に最近は、数千円単位のさほど大きくない金額を1回取った後に、今度は数万円単位の大きな金額を取るという“二段階構造”の詐欺も多いです。今回あなたは、7390円の詐欺に遭いましたが、その後に来たメールの誘導に乗ってLINEを登録していたら、その後にさらに大きな金額を要求された可能性もあります。
知られてしまった個人情報はどう使われるのか?
――おかしなサイトの見分け方を教えてください。
刑事:まずはサイトのURLですよね。「.jp」や「.com」ではなく、「.xyz」や外国のドメインだと危ないですね。あとは、メールアドレスも同様です。今回あなたが引っ掛かった「.lat(ラトビア)」のメールアドレスもそうですが、外国のドメインのものは、一度疑ったほうがよいでしょう。
あと、ショッピング系のサイトの場合は、振込先と販売会社の名前が違うというパターンがある。今回も、振込先が個人名で販売元が会社名になっていましたが、このように、振込先と販売元の名前が違う場合は、一度疑ってみたほうがいいですね。
――今回私は、詐欺グループに住所と電話番号、個人名、メールアドレスなどの個人情報を知られてしまいました。この情報はどんな風に使われてしまうのでしょうか。
刑事:詐欺グループは、「詐欺に遭いやすい人」リストを作って売買しているので、おそらく闇名簿のようなもので、情報が流出してしまうと思います。そのため、自宅やメールに何か怪しいDMなどを送りつけられる可能性もあります。いきなり銀行預金などが勝手に引き落とされるようなことはありませんが、警戒しておくに越したことはないですね。