いちばん身につけてほしいのは「想像力」
現在、「寺子屋こやや」に通う子供は約70名。講師が講義をするのではなく、学校の補習を軸とする個別指導がメインだ。
「徹底するのは、できたら褒めること。子供は褒められたら表情に出さなくても内面が絶対に変わります」
哲夫が目指すのは「学校や教科書から得られる学び」にとどまらない。
「もちろん最優先すべきは学校の教育です。だけどそれと同じくらい子供が地域の中で多くの大人と出会い、自分とは違う考え方があることを学ぶのも大切なことだと思う。塾の名前を『寺子屋』にしたのも、勉強以外のいろんなことを学べる場にしたかったからです。
また、学校の先生も親も忙しい中、地域がサポートする仕組みが必要やと思ったことも塾を始めた理由です。日本全体の子供を底上げするのが大事で、そのためにも地域のサポートは欠かせません」
あらゆる“学び”の機会を提供するべく日々奮闘する哲夫。その中でも子供たちに「いちばん身につけてほしい」と考えているのは、想像力だという。
「想像力は人間にいちばん大切な能力。想像力があれば相手の気持ちを思いやって仲よくでき、犯罪抑止にもなる。痴漢なんて想像力があれば絶対しないんです。偏差値や机上の知識を増やすだけでなく、もっと想像力を鍛える場があれば生きる力が育つはずです」
受験についても、「失敗したとしても想像力を鍛える場だと考えれば、大きな学びになる」と説く。
「受験でいちばん大事なのはプロセス。受験を通じて何を学ぶかが大切です。ぼくも第一志望は落ちたけど、それで痛みがわかるようになった。ずっと成功だけの人生は、それはそれでしんどいし、性格もようならないと思う。だから受験に失敗したとしても、性格がようなるひとつの方法やと思えばいいんです」
仏様のように慈悲深い教えを胸に、がんばれ受験生。
※女性セブン2024年2月15日号