景気悪化やコロナ禍など不安要因が重なる中、就職ランキングで1、2を争う人気を誇っていたのが「公務員」だった。ところが今、その不動の地位に変化が見え始めているという。「安定」と「やりがい」の高さから、優秀な人材がこぞって就職を希望してきた「キャリア官僚」という職業も、敬遠されるようになってきている。その背景に何があるのか。そしてその先に待ち受ける未来は──。人口減少問題に詳しい作家・ジャーナリストの河合雅司氏がレポートする。【前後編の前編。後編を読む】
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高かった公務員人気に陰りが見えてきた。総務省は2022年の地方公務員の受験者数が43万8651人にとどまり、58万3541人だった10年前の2013年と比べて24.8%減ったことを公表した。人数にすると約14万5000人少なくなったということである。
国家公務員についても採用試験の申込者数の落ち込みは顕著だ。人事院によれば2022年の総合職試験は1万8295人にとどまり、2011年の2万7567人と比べて33.6%減だ。
なぜ公務員離れが鮮明になってきたのか。要因は複雑だ。国家公務員と地方公務員とでは異なる部分もある。まずは国家公務員から見て行こう。
東大生の「キャリア官僚離れ」が進んだ理由
人事院によれば、国家公務員採用試験申込者数の落ち込みは総合職だけではない。2011年と2022年を比較すると一般職試験(大卒程度試験)は39.5%減、一般職試験(高卒者試験)は43.1%減だ。